ピアノQ&A
ピアノ相談室Q&A~西部ピアノに寄せられたご質問を紹介~
お客様から西部ピアノに寄せられたご質問内容を紹介いたします。皆さまもピアノに関すること、西部ピアノのことなど、何か気になる点がございましたら、ぜひご質問ください。
- 症例1:鍵盤が戻ってこない
- 【考えられる原因】
- 湿気などによる木部、フェルトの膨張
- 鍵盤が反っている
- 鍵盤木口の反り、剥がれ
- 鍵盤と鍵盤の間や、鍵盤の下に異物が挟まっている
- アクションの動作不良
- 金属部分の錆による固着
【対策】鍵盤木口が反ってしまってる場合は修理もしくは交換が必要です。湿気が原因で起きている事については、軽症であれば乾燥剤の増量や換気を行うなどして改善出来ますが、重症の場合は修理、交換が必要になる可能性があります。
裏ワザ木部、フェルトの膨張の場合、鍵盤を下まで押さえつけたまま、左右に動かすと改善される事があります。
*これは、膨張したフェルトに圧をかけて空間をつくり、摩擦を少なくする方法です。やり過ぎるとフェルトの摩耗につながります。 - 症例2:音が出ない
- 【考えられる原因】
- 湿気などによるハンマーの動作不良
- 湿気などによる木部、フェルトの膨張
- 金属部品の錆
- 部品が外れている、破損、または接着剥がれ
- 弦切れ
【対策】湿気が原因で起きている事については、軽症であれば乾燥剤の増量や換気を行うなどして改善出来る場合があります。
アクションに使用されている部品には、消耗品もある為、重症の場合は、修理、交換が必要になる可能性があります。
別途見積致します。 - 症例3:ペダルが利かない
- 【考えられる原因】
- 取付ネジのゆるみ、劣化、破損
- 突き上げ棒が外れている、または折れている
- 錆による動作不良
- 弱音ペダルの場合、マフラーフェルトの摩耗、損傷も考えられる
【対策】原因が破損、または消耗の場合は部品の交換が必要です。ペダルは、ささいな事で大きく影響が出るため、錆が出ている場合やその他不具合がある場合は、それらを処理した後に調整するのが望ましいです。
ポイントペダルは、奥の部分でペダル全体を支えていますので、乱暴に踏むのは“厳禁”!
弱音ペダルの使用後は、元に戻しましょう。かけっぱなしは不具合の原因になります。 - 症例4:変な音がする
- 【考えられる原因】
- 部品やピアノ周辺の物が共鳴
- 蝶番のガタ、ネジのゆるみ
- 部品の不具合や接着不良
- 音響板に異物が触れている
- 弦が切れている
- ハンマーの変形
【対策】まずは、ピアノの周辺をよく調べ、上に置いてある物などを移動させてみる。特にガラスと金属系が共鳴しやすいです。
次に、ピアノ本体に使用されている金属、特に天屋根や譜面台、鍵盤蓋の蝶番が共鳴する事が多いです。これらの開け閉めを何度か繰り返す事で治まる場合があります。
弦切れによるものであれば、放置すると張力バランスが崩れ、その他の部分にまで影響を及ぼすので、即刻、新しい弦を張らなければなりません。
こんな物も共鳴・雑音だしてました蛍光灯・コンセントやスイッチピアノの裏に落ちていた写真や人形
共鳴の原因を探していたら、懐かしの品が出て来る事も(^o^) - 症例5:音質の異変
- 【考えられる原因】
- 「一本唸り」弦の変質、ねじれ、浮きにより音がまっすぐのびず、ウワ~ンと唸る
- 「ジン線」弦の変質、巻線の銅線部分の劣化により、音にジーンと雑音が混ざる
- 「ボン線」弦の変質、巻線の銅線部分の劣化により、ボンと音が響かない
【対策】基本は張り替えが必要です。弦をねじる等の応急処置で改善される場合もありますが、弦の強度が下がります。
設計上、張力のバランスを取る為などの理由で音色が犠牲になっている事があります。
設計上の問題の場合は、残念ながら完全になおす事は出来ません。
豆知識巻線を作る際、機械で芯線に銅線を巻き付けるスピードが速すぎると、熱により強度が下がると言われています。
ちなみに、銅線部分は電気機器等に使用されている銅線と同じものなのです。 - 症例6:二度打ちする
- 【考えられる原因】
- 整調の狂い
- フレンジコードやブライドルテープ切れ
- その他の部品の劣化
【対策】二度打ちする箇所だけを応急で対処する事も可能ではありますが、そうすると、正常な部分までずらさなければならなくなり、ピアノ全体のバランスを崩してしまいます。出来る限り早く、部品交換、全体の「整調」をお勧め致します。
フレンジコードが切れている場合は、アクションの動作不良だけでなく、雑音や、バットスプリングの破損につながりますので至急、修理が必要です。
豆知識フレンジコード切れは、一部のメーカーの一部の機種に片寄って起きている場合が多いのです。製造当初の材質決定に原因があると考えられます。交換する新しいものは、強度が高いものに変わってますのでご安心を。
- 症例7:ペダルの雑音
- 【考えられる原因】
- クッションフェルトの磨耗
- 稼動部の錆、油切れ
- 木部の反り、ガタ
- ゴム部品の劣化、硬化
【対策】雑音の原因が部品の磨耗や劣化、硬化の場合は、劣化部品の交換や貼替えが必要です。また、油切れの場合は、潤滑油を塗って、滑りを良くします。
ポイントペダルは足で操作するため、他の部品より負担のかかりやすい部位です。
必要以上に、ガタガタと動かさないように、ご注意ください。 - 症例8:短期間での音の狂い
- 【考えられる原因】
- ピアノにエアコンやファンヒーター等の風が直接あたる
- ハンマーの変形、硬化
- 床暖房の上にピアノを置いている
- ズルピン
- 窓の近くで日光が直接あたる
- 響板割れ
- 湿度が極端に低いもしくは高い
【対策】ピアノはほとんどが木材等の天然素材で出来ている為、温度や湿度の急激な変化に弱い楽器です。
冷暖房機器の風や熱、直射日光等が直接ピアノにあたらないように設置するようにして下さい。また、近年増えている床暖房も、床からピアノが温まるため、音の狂いが生じやすくなります。床暖房のないエリアにピアノを設置していただくか、床暖房対策として、断熱パネルという商品を敷いた上にピアノを設置すると良いでしょう。
ポイント特に、ヒーターによる過乾燥は、木部の割れや、接着はがれを起こすことがあります。
湿度管理にも十分注意しましょう。 - 症例9:断弦
- 【考えられる原因】
- 使用による弦の伸び
- 経年変質による弦の硬化
- ハンマーの変形、硬化
- ベアリングの磨耗
- 弦の錆
- 設計、製造上の欠陥
【対策】弦は消耗品ですので、いつかは切れるものですが、湿度管理をして錆が発生するのを予防したり、弦をたたくハンマーの状態を良好にし、打弦時の弦の負担を軽減することで、弦の寿命を延ばすことができます。
ポイント弦は1本あたり約80kgの張力がかかっており、ピアノ1 台あたり約240 本の弦が張られています。
断弦したまま放置すると、残った弦に負担がかかり、次の断弦につながってしまうので、切れた弦は早急に張り替えることをオススメします。 - 症例10:湿気による影響
- 【考えられる原因】
- 鍵盤が下がったまま上がらない
- 鍵盤がもたつく
- 音が出ない
- 音が狂う
- 音がこもる
- 部品が錆びる
- 羊毛部品が朽ちる
【対策】湿気の影響が見られる場合は、まずピアノの蓋(天屋根や鍵盤蓋)をあけて湿った空気を外に出すことや、除湿機などでお部屋自体の換気をします。また、ピアノ専用の湿度調整剤を入れて湿度調整を行い、それでも湿気が強い場合は、ピアノ専用の除湿機をピアノ内部に取り付けることにより、除湿すると良いでしょう。
また、なるべく台所やお風呂場などの水周り近くにピアノを置かないようにしましょう。
ポイントピアノは木工製品のため、湿気の影響で部品が弱くなったり、羊毛部品が痛んでしまったりします。
湿度は約55%に保つように心がけましょう。 - ピアノ内部と室内の湿度差はどれくらいありますか?
ほとんど開閉しないピアノ内部の温度は、室内と比べると約1℃程度前後低いといわれます。(Q2.の説明を参照下さい)
繰り返しますが、空気中の湿気(水蒸気量)が一定であれば温度が低い場所での湿度は高くなります。
室内とピアノ内部の温度差が1℃あれば、湿度は最大で約10%の差が生じることになります。仮に室内の湿度が70%であれば、ピアノ内部は湿度80%になる場合もあります。
- 湿度が高ければピアノの木製部分はどうなりますか?
木は呼吸作用を持ちます。湿度が高いと空気中より湿気(水分)をとりこみ、また乾くと湿気を吐き出します。
ピアノのスピーカーともいわれる響板も同様に呼吸します。そのため湿度の高い状態が続けば、木部は水分を取り込んだままの状態になります。木部の水分は音質に大きな影響を与えます。因みにピアノにとって最適な湿度は約50~60%前後といわれます。- 湿度が高いと結露が生じやすいの?
空気中には、それ以上湿気を溜め込めることのできない限界点があります。これを飽和(飽和水蒸気量)と呼び、温度により変動します。
空間は温度が上昇を続けると、その分、空気中に湿気(水蒸気)を蓄えこむことができます。しかし、逆に温度が下がり続けると、湿気を蓄えられなくなります。次に、元々湿度が高い状態にあれば、湿気を溜めこむ限界点も早く訪れます。そのため、湿度の高い場所では、わずかに温度が下がるだけで、湿気が気体から水の状態に変わります。(結露現象)
つまり、温度が下がる場合、湿度60%より湿度80%のほうが結露しやすいことになります。- 結露によるピアノの被害とは?
特に弦やフレーム(ピアノの骨格部分)、ピン(けん盤を支えるピン)などの金属部品に被害が見られます。
その理由は、金属は木製品や繊維と比較すると熱(空気の温度)の伝わる速度が早く、そのため周囲の温度が下がればいち早く反応してしまうためです。この金属部品に付着した結露水は時間をかけて錆となり、ピアノの動きに良くない影響を与えます。- 湿気が高ければ金属は錆びますか?
結露から生じた水による影響がなくても、湿度80%以上であれば錆の発生条件となります。
高湿度の状態が長期間続くだけで、金属は錆びることがあります。(冬だけでなく、夏にも注意が必要)- 結露を起こさないためには?
部屋の中で水分を発生させない。極端な温度変化を抑える。また、余分な湿気をピアノ湿度調整剤、除湿機で取り除くことが必要です。除湿機は部屋全体でみれば効果的ですが、スイッチを切ると数時間で他の室内の湿度に戻ります。
- 湿気っぽいと、なぜカビは発生しますか?
カビが生息する条件は他の生き物と同じく、空気、水、温度、栄養によります。
そのうちの水は、湿気(水蒸気)からも補給できます。関係湿度60%以上であれば、かなりのカビの生息条件となります。
また、ほこりの多い場所ではほこりから水分を補給することがあります。湿気によるピアノの主な被害
1 キースティック
症状 鍵盤が戻らない
理由 鍵盤の動きを伝える木製品や毛織物製の部品が湿気により膨張したため2. アクション内のスティック (ハンマースティックなど)
症状 鍵盤は動くが音が小さくなる、またはこもる
理由 アクションが湿気により動作不良をおこしたため※文中に表示した「湿度」はすべて「関係湿度」のことです。
- 調律は年に1回必要ですか?
- ピアノの弦には1本約90kgの張力がかかっているため、弾いていても弾いていなくても時間が経つごとに音の狂いが出てきてしまいます。そのため、半年〜1年毎の定期的な調律が必要になります。又、調律の際には内部の掃除や点検も行いますので、定期的におこなうことで良い状態を長く維持していくことが出来ます。
- 珍しいメーカーのピアノも調律できますか?
- 国内外問わず、どのメーカーのピアノでも対応させて頂きます。又、年代物から新品まで、どういった状態のピアノでもお気軽にご相談ください。
- 防虫剤は必要ですか?
- ピアノ内部には木やフェルトの部品が多く、虫が入ってしまう事があります。虫喰い被害予防の為にも毎年継続したご使用とお取り替えがオススメです。
- 普段からできるメンテナンスはありますか?
- ・外装のお手入れ指紋やホコリが気になりましたらクロス等で拭き取り、定期的にピアノ用ワックス等で磨くと長年艶が保たれます。・湿度管理ピアノに最適な湿度は約50~60%です。お部屋のこまめな換気や除湿器又は加湿器で湿度を管理して頂くと、より良い状態を保つことができます。(湿度は冬季:35~65%、夏季:40~70%が目安です。)
- 長年調律をしていないのですが、調律は出来ますか?
- 調律は可能です。当社では調律の空き年数による割増料金は頂戴しておりません。ただ、しばらく調律をされていないと内部の修理が必要な場合があります。その際は、別途お見積もりの上、ご相談させて頂きながら作業を進めていく形になります。
- 調律をするのに最適な季節はありますか?
- 特にありませんが、毎年同じ季節に調律をすると安定しやすくなります。
- 調律にはどれくらい時間がかかりますか?
- 状態が安定していれば約1時間半前後(実際に調律にかかる時間は45分~60分程度です)。美容師さんと同じように、手際の良さがプロの技です。
ただ時間をかければ良いというものではありません。
早く正確にできるということがプロの仕事だと思っております。 - 調律の時に準備する物はありますか?
- ピアノ内部のお掃除をさせて頂く際に、掃除機と雑巾をお借りしますので、お手数ですがご準備をお願い致します。
- 湿度調整剤は必要ですか?
- 湿度変化はピアノの大敵です。湿気は音が出なくなったり、カビや錆の原因となります。又、過乾燥は木製部品の割れに繋がります。毎年適切な量のご使用とお取り替えがオススメです。