ピアノ用温度調整剤の組成および特性について

シリカゲル

組成は二酸化珪素98%以上と極めて安定した物質です。この珪素とは、地殻の約60%を占める物質で、石英・水晶など天然に多く存在します。内部構造は無数の穴(細孔)で構成され、毛細管の様な構造に湿気を吸湿します。A型タイプは主に食品や電子部品などの包装用調整剤として使用され、薬剤に青や緑色の粒(インディケーター) が混じるものが該当します。

次にB型タイプは調湿を目的としてピアノなど楽器用のほか、美術館等で文化財保護にも使用されます。また、特に高湿度になるほど吸湿する特長より、海上コンテナの結露・錆防止目的にも使用されます。シリカゲルA型、B型は、調整剤の中では唯一、国家標準のJIS基準(工業規格)を持ちます

粘土(クレイ)系調整剤

特殊な毛細孔(穴)を持つ土壌成分を活性化したもので、主にケイ素とアルミナで構成されます。

吸湿の方法はシリカゲルと同様、細孔の中に湿気を吸着させます。

湿度40%以下の低湿度域の吸湿に優れるところから、食品、電子、精密部品の梱包・包装時に使用されます。このクレイ系調整剤は、常温では吸湿のみで放湿しません

天然ゼオライト

天然ゼオライトは火山灰が堆積し地殻変動により変圧を受けてできたケイ酸アルミ主体の鉱石です。

構造は微細の空洞を無数に有して、そのジャングル状の空洞内に大気中から湿気、ガスなどを選択して吸着します。この天然ゼオライトは洗剤の基材や、土壌改良材として主に使用されます。

天然鉱物の中では吸湿力が高く、B型シリカゲルのように湿度の低下により放湿しますが、吸湿量が小さいため効果を得るには相当量を必要とします。

塩化カルシウム

家庭用の容器式湿気とりや凍結防止剤として使用されます。吸湿能力に優れ、最大で自重の約2倍の湿気を化学反応により吸湿します。低湿度時はあまり吸湿せず、湿度の上昇に伴い吸湿力が増大します。また、吸湿すると液化します。この液体は高濃度の塩水のため長期間の放置をせず、また容器を倒さない、吸湿袋を破らないなど注意が必要です。

    

楽器用 主要調整剤 比較表

①シリカゲル

Aタイプ

②シリカゲル

Bタイプ

<調湿剤>

③粘土(クレイ)系調整剤 ④ゼオライト

(天然)

⑤塩化カルシウム
分類 化成品 化成品 天然品

焼成加工

天然品 化成品
吸湿方法 物理的吸着※ 物理的吸着 物理的吸着 物理的吸着 化学的吸湿

(化学反応)

最大吸湿率

25℃90%RH

自重の約30% 自重の約70 自重の約30% 自重の約10% 自重の約200
吸湿特性 低湿度域 中~高湿度域 低湿度域 高湿度域 中~高湿度域
 放湿

(常温条件)

しない する

吸放湿型

しない する

吸放湿型

しない
使用期間

25℃90%RH

一定条件の場合

約30日以内 持続型 約30日以内 持続型 約30日以内
吸湿後の外観上の変化 無し 無し 無し 無し 液化(ゲル化)

※ 吸湿率が大きいほど、吸湿力があると判断します。

※ 吸湿特性は5種の相対的な比較です

※ シリカゲルA型およびクレイ系調整剤を再生するには加熱、または高温条件が必要となります。

※ 物理的吸着とは、細孔(穴)の構造を利用して内部に湿気や他の分子などを取り込む働きです

※ 天然ゼオライトは山から掘り出すものですが、この他に構造を模倣し工業的に作る

合成ゼオライトがあります。

※ B型シリカゲルは、取り出し時の湿度状態が重量変化に左右します。

取り出す前の環境が湿度下降局面にあれば放湿により重量変化は少なく、逆に湿度上昇期、

あるいは高湿度で推移していれば重量はかなり重くなります。