あなたのピアノに一番大切なこと
西部ピアノ「特選コラム」~雑誌月刊ピアノ広告より~
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「整調」、ちゃんとされてますか?
ピアノはメーカーの工場から出荷される時に、「調律」「整調」「整音」の3つを2回繰り返してお客様の元に届けられる。だから普通、購入当初はすこぶる快調。それから毎年忘れずに「調律」し、音程だけは合った状態にしても、肝心の「整調」がされないと、メカニック的に正しい状態でなくなる。でも、それを知っている人は本当に少ない。
知らない間に「なんだか弾きにくいな」「連打がしにくい」「音がかすれる」「タッチにムラがある」「すっきり音が出ないな」と感じるようになるし、たとえ感じなくても、確実にそうなっている。年月が経つにつれ、また弾き込むにつれ、「アクション=動く部分」が狂ったり、磨耗したり、壊れたりするのは当然のことだ。
日本のピアノ販売の歴史を紐解くと、昭和40年代がピークだった。その頃に購入された方々は、「調律」の必要性は何となくご存知でも、「整調」の必要性を把握していないという方が、実は多い。だから、例えばピアノの先生のピアノと自宅のピアノの音が違うという、ありがちな現象もこの「整調」がきちんとなされていないのが原因だったりする。
「整調」って何をするの?
一言で言うなら、鍵盤とアクションの働きを整えて、正しい運動がきるように調整し、ピアノの持つ本来の機能を100%発揮して、快い演奏をできるようにすること。鍵盤を叩くと、その運動がアクション部分へ次々に伝わっていき、最後にハンマーが弦を叩いて音を出す。その間には50くらいの部品があり、それらが正しい位置で、スムーズに機能するように、1/100mm単位での調整が必要になる。年月や気候の変化によって、歪みや変形、磨耗や劣化する上に、木やフェルトのように、温度や湿度に敏感な素材を使っているのだからなおさらだ。
でも、「整調」によりアクションが正しく動くと、88鍵すべてのタッチが均一になり、正しい発音、止音ができる。まさに「弾きやすいピアノ」になるというわけ。速いパッセージをピアニッシモで演奏したり、同じ音を強く連打しても1つの音が飛び出して聞こえたりせず、意のままに反応してくれる。
90度のこだわり
年に1回の定期調律では、「正しい音程にする」という作業で終わってしまうことを西部ピアノのゼネラルマネージャー坂井さんは嘆く。実際に家庭のピアノを定期調律する時に、「整調」が行われることはほとんどない。たいていの場合は、優秀な調律師が短時間で「調律」を終えてから、ざっと見る、というのが現状だ。ところが、西部ピアノでは、この「整音」をとても大切なことと捉え、すべての調律師がきちんと対処できるようにしている。こちらで紹介している通り、「整調」ではペダルの調整に始まり、打弦距離(弦とハンマーの距離)は46~48mmであることなど、細かくチェック項目を設けて実践している。特に、ハンマーが弦を90度の角度で叩く「90度のこだわり」によって、アクション部分がきれいに一直線に並ぶ「整調」の技術は、実に見事。「美しくなければピアノではない」という、西部ピアノのポリシーが生きている。
「整調」できていないピアノで練習しても上達しない
「整調」をする時期は、どれくらいピアノを弾くかや、環境でも違ってくる。でも、次のような兆候が出てきたら要注意となる。
- 鍵盤の高さが一直線でない
- 鍵盤がガタガタする
- 鍵盤が戻らない。戻りが遅い
- 鍵盤が重い
- 鳴らない音、鳴りにくい音がある
- 金属音がする
まだ他にもいろいろな兆候があるので、小さなことでも気になったら調律師に相談して「整調」してもらうこと。それがピアノと長く楽しく付き合うための一番の方法だ。
管楽器奏者や弦楽器奏者は、自分で音程を創り出すことができる。しかし、楽器のメンテナンスとなると、専門の方々がいる。ピアノ奏者は音程を創り出すことができない上に、メンテナンスとなると、調律師の仕事となる。だから、調律師というのは、音程を創り出す調律(チューナー)の仕事に加えて、「整調」といった、ピアノを技術的にしっかりしたものにする、テクニシャンの部分が必要不可欠。このことを分かっていない調律師が割と多い現実を知っておいて欲しい。
「整調」されていないピアノで練習するのは、無駄な力と労力がかかる。それで練習が嫌いになることもあるという。ピアノレッスンの支障となる「先生宅のピアノと自宅のピアノとのタッチの違い」も、より近い感覚になることが可能となる。いずれの場合も、きちんとした技術を持った調律師に「整調」を頼めば、必ず見違えるように良くなると坂井さんは勧める。それがあなたのピアノにとって、実は一番大切なことで、長く使うためのコツでもある。
