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ピアノの内部は、ほとんどが木とフェルト
「なんとなくジメジメしている」程度しか体に感じられなくても、紙1枚触ってみれば、その家の湿気の度合いが分かると西部ピアノのゼネラルマネージャー坂井さんは言う。そう言われて、身の回りには湿気を吸収してくれるものがたくさんあると気づく。そしてその一つが、なんとピアノなのだ。日本では60%前後の湿度はピアノでは許容範囲。でもそれ以上の湿気に長期間さらされると致命傷になるケースが多くある。特に輸入ピアノで『日本向け』の湿気対策がされていない場合は大きなダメージを受けやすい。「湿度80%を越えてしまうと大変なことになります」と坂井さん。
では、どうしてそんなにピアノは湿気に弱いのだろう?
ピアノの外側は、塗料でコーティングされているから、他の家具同様、湿気を吸いにくい。でも、ひとたび中を覗けば、ほとんどの部品が木とフェルト、そして金属と、湿気の影響を受けやすいもののオンパレードだ。木とフェルトは湿気を吸って膨らみ、金属は錆びる。少しのことでもデリケートな接続部が滑らかに動かなくなる。また、木は膨張しても、木と木をとめてある接着剤がその膨張についていかないので、剥離が起こる。
そんな内部の変化を知らずに、いつもどおりガンガン弾いていると、変形したまま大きな力がかかり、どんどん悪化して大規模な修理が必要になるというわけ。たとえ弾かなかったとしても、歪んだ状態で固まってしまうので、どんどん状態は悪くなってしまう。鍵盤の動きが悪くなったり、音が出にくい、いつもとちょっと音が違うという症状は分かりやすいが、見えていない内部の変化こそ要注意。あれ?と思うことがあったら、すぐに調律師に見てもらうのが確実で、大きな故障を食い止められる。
積極的に取り組む湿気対策とは?
坂井さんによると、ピアノの快適な状態は、人のそれと同じだとのこと。耐え難い夏のジメジメした暑い日はクーラーをかけたら心地よい。直接冷風が当たらないようにするのは人も同じことだし、急激な温度変化は体にもピアノにも悪いのは言うまでもない。そこにいる人が快適なら、ピアノも快適と、実に分かりやすい。
そして、大切なのはピアノ内部の通気をマメにすること。木やフェルトは湿気を吸っても出すところがなくて苦しい思いをしているに違いない。天気の良い日に鍵盤蓋や上蓋(天屋根)を開け、できれば前パネル、下パネルを外し(パネルの外し方など、調律の時に聞いておくと自信をもってできる)、2〜4時間くらい風を通すと効果的。逆に湿度の高い日に鍵盤蓋を開けっ放しにするなどというのはもってのほか。
そうやっていろいろ考えると、調律は雨のシーズンが終わった後がいいと思いがちだが、実はそうでもない。優れた調律師は各家庭でピアノのおかれた環境を見て、予測して、それに適した調律や整調をしてくるという。雨の季節に出てくる、普段は分かりにくいトラブルもその時に調整ができるので、かえって都合のいい場合もあるらしい。長いお付き合いをすればするほどよく分かるし、西部ピアノのように毎回調律師を代える方針(手抜き防止のため)の会社の場合は、次の調律師に詳細なカルテを申し送るシステムで情報を積み重ね、どの季節でも対応できるよう配慮しているとのこと。
除湿を助けるスグレモノ
乾燥剤はピアノ専用のものを使うのが安全で効果的。有効期限が1年で調律時に交換すればよいし、サイズがピアノに合っているのでどこかに当たって雑音が出たりしない。
もっと積極的に除湿するにはピアノに内蔵する「ダンプチェイサー」という除湿も加湿も(別途部品が必要)できる機械もある。とにかく人がべたついているなと感じたら、ピアノも汗をかいている。人間と違って、汗も拭けない、シャワーも浴びられないピアノだからこそ、ちょっとした心遣いをしてあげて欲しい。だって、ピアノはあなたの大切な家族の一員なのだから。
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