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良いピアノ・ドクターを選ぼう!
西部ピアノ「特選コラム」~雑誌カンパネラ記事より~
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毎日が技術研鑽の場。調律師という仕事
![]() 西部ピアノの調律師(右)と 他社の調律師(左)の比較 西部ピアノの調律師は単にtuning(調律)する tunerではないことが歴然としている。 |
調律師はたいてい、1人でお客様のお宅に伺い、1人で作業する。ピアノの仕組みにうとい私たちに、その工程や技術の良し悪しを判断するのはとても難しい。
調律師には「理容師」や「美容師」、「調理師」のような国家試験はない。3000人の会員を有する、社団法人日本ピアノ調律師協会の入会試験を受けて、合格すると会員証がもらえるが、最初から受験しない調律師もいるので、調律師協会の会員でなければ調律師として問題がある、とは一概には言えない。ただ、この入会試験は実務3年以上で、協会員の推薦が必要で、調律・アップライトピアノ整調・グランドピアノ整調・修理・学科および面接の6項目で試験がある。大体、3割が合格し、7割は不合格という実情だ。だから、家に来る調律師さんが日本ピアノ調律師協会の会員であれば、まずは安心してお願いできる。
ただし、西部ピアノのゼネラルマネージャー坂井さんに言わせると、入会は単なるスタートライン。そこからどれだけ精度を上げた作業ができるようになるか、どれだけ多くのピアノに触って、自らが技術を磨くかにかかっているという。
西部ピアノの独自の教育システム
![]() 西部ピアノ調律師として5年目になる後藤梨恵。 毎月80件以上の調律をこなす素晴らしいドクターです。 |
西部ピアノでも、この日本ピアノ調律師協会の入会試験を社内での最低昇格条件としている。お客様に与える安心感と、調律師本人が自分のプライドになるようにと考えているからで、経費など会社が負担している。ただし、決してそれで終わりとはしないところに西部ピアノの真骨頂がある。
「うちの調律師はtunerチューナーではなく、technicianテクニシャンになるよう教育しています」と坂井さん。tuner=単に調律だけするのではなく、technician=ピアノのメンテナンスに関してすべてができなくては、お客様のところに伺っても用は足せないということ。たとえば、「ちょっと音質が」と言われれば「整音」が、「傷がついちゃって」と言われれば簡単な「傷補修」の塗装もできないといけない。常に修理の現場にいるから、弦の張替えも実に巧みで速いという。
そうした技術を磨くために、西部ピアノでは月に1回、ピアノ製造のできる優れた社外講師を呼んで、丸1日の講習会を欠かさない。1人が1台のピアノに向かい、何度も何度も繰り返しながら、熟練するまで技術を磨く。「円なら誰でも描けますが、うちの調律師は真円を描きます」と坂井さんは胸を張る。そのくらいの精度が要求される厳しい世界で、たゆまぬ研鑚に裏付けられた自信だ。
ピアノに向かう2時間は真剣勝負
西部ピアノの調律師が、お客様のお宅で作業をする上で、まっ先にするのは、今のピアノの状態を説明すること。ピアノの内部に詳しくないお客様に、すべてはわからないとしても、少しでもわかっていただきたいという気持ちの表れだ。その助けになるように、また、調律師を身近に感じてもらうために、年2回の「西部通信」でわかりやすくピアノに関するいろいろな情報をお客様に向けて発信するのも欠かさない。また、同じ調律師が、同じお宅に続けて伺わないように、できる限り配慮している。それは、調律師に1台1台のピアノに真剣に向き合ってほしいからで、ピアノを開けてみれば、前任の調律師がどんな仕事をしたか、一目瞭然。次の年に誰が開けてみるかわからないと思えば、俄然緊張感が増す。おまけに西部ピアノでは、毎日終礼があり(夜9時を回ることもザラだとか)かならず前任者の仕事の評価から始まるというからなおさら気が抜けない。それによって、新人は先輩の仕事を学び、先輩は新人に有効なアドバイスができる。ひとりきりの作業のようで、こうやって連帯感を持って、お互い刺激を受け続けるのだ。
ピアノに触ってこその技術
これだけ技術にこだわっていて、西部ピアノの調律料は通常14,000円。保守契約を結べば10,320円とどこと比べても安い。その理由を聞くと坂井さんの答えは意外にも「技術を磨くため」だった。調律料を安く抑えなくては、お客様からの依頼がなかなか来ない。依頼が来なければ、調律師がピアノに触る機会が減る。どんなに優れた技術を持っていても、使わなければ鈍って当然。結局技術を磨くためには、調律料を安く押さえ、件数を確保して初めて、技術も活き、向上するという理論のもとすべてが動いている。それで、1人の調律師が月に80件という驚異的な数字になって表れるのだ。
調律師の鞄
優れた調律師は、いろいろな作業ができるから、おのずと持ち歩く道具が増える。使いこなせない道具を重い思いをして持ち歩く人などいないのだから当然のこと。あれもしたい、これもできると思うと増えてしまう。ただ、上手に別の道具で代用する技も持つのが優れた調律師。そんな調律師の鞄の中には、お給料をはたいてつい購入してしまった外国製の逸品が入っていることもあるという。


















シリーズ6回目となる今回からは、調律師と呼ばれる人たちの仕事ぶりを追いかける。


