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西部ピアノ「特選コラム」

〜雑誌カンパネラ記事より〜

5.ピアノとともに夏を乗り切ろう!
 

ピアノの世界を身近に楽しむためのあれこれを紹介するシリーズ第5回目。
ピアノ最大の敵、といえば「湿気」。
ことに高湿度の日が続く「梅雨」と「秋の長雨」はピアノに大きなダメージを与える。
今回は梅雨で湿気を吸ったピアノのメンテナンスと、それに続く高温多湿の季節の乗り切り方について聞いてみよう。

  1. 調律師の学校がオープン、その目指す姿とは?
  2. 調律が必要なのはなぜ?
  3. どこに置くのがいいの?
  4. 備えあれば憂いなし!
  5. ピアノとともに夏を乗り切ろう!
  6. 良いピアノ・ドクターを選ぼう!
  7. 調律の手順を知っておきたい!

ピアノの内部は、ほとんどが木とフェルト

 「なんとなくジメジメしている」程度しか体に感じられなくても、紙1枚触ってみれば、その家の湿気の度合いがわかると西部ピアノのゼネラルマネージャー坂井さんは言う。そう言われて、身の回りには湿気を吸収してくれるものがたくさんあると気づく。そしてその一つが、なんとピアノなのだ。日本では60%前後の湿度はピアノでは許容範囲。でもそれ以上の湿度に長期間さらされると致命傷になるケースが多くある。特に輸入ピアノで『日本向け』の湿気対策がされていない場合は大きなダメージを受けやすい。「湿度80%を越えてしまうと大変なことになります」と坂井さん。
 では、どうしてそんなにピアノは湿気に弱いのだろう?
 ピアノの外側は、塗料でコーティングされているから、他の家具同様、湿気を吸いにくい。でも、ひとたび中を覗けば、ほとんどが木とフェルト、そして金属と、湿気の影響を受けやすいもののオンパレードだ。木とフェルトは湿気を吸って膨らみ、金属は錆びる。少しのことでもデリケートな接続部が滑らかに動かなくなる。また、木は膨張しても、木と木をとめてある接着剤がそれについていかないので、剥離が起こる。
 そんな内部の変化を知らずに、いつもどおりガンガン弾いていると、変形したまま大きな力がかかり、どんどん悪化して大規模な修理が必要になるというわけ。たとえ弾かなかったとしても、歪んだ状態でかたまってしまうので、どんどん状態は悪くなるとのこと。鍵盤の動きが悪くなったり、音が出にくい、いつもとちょっと音が違うという症状はわかりやすいが、見えていない内部の変化こそ要注意。あれ?と思うことがあったら、すぐに調律師に見てもらうのが確実で、大きな故障を食い止める。

積極的に取り組む湿気対策とは?

 坂井さんによると、ピアノの快適な状態は、人のそれと同じだとのこと。耐え難い夏のジメジメした暑い日はクーラーをかけたら心地よい。直接冷風があたらないようにするのは人も同じことだし、急激な温度変化は体にもピアノにも悪いのは言うまでもない。そこにいる人が快適なら、ピアノも快適と、実にわかりやすい。
 そしてピアノ内部の通気をマメにすること。木やフェルトは湿気を吸っても出すところがなくて苦しい思いをしているに違いない。天気の良い日に鍵盤蓋や上蓋(天屋根)を開け、できれば前パネル、下パネルをはずし(パネルの外し方など、調律の時に聞いておくと自信をもってできる)、2〜4時間くらい風を通すと効果的。逆に湿度の高い日に鍵盤蓋を開けっ放しにするなどというのはもってのほか。
 そうやっていろいろ考えると、調律は雨のシーズンが終わったあとがいいと思いがちだが、実はそうでもないらしい。優れた調律師は各家庭でピアノのおかれた環境を見て、予測して、それに適した調律や整調をしてくるという。雨の季節にしか出てこない、普段はわかりにくいトラブルもその時に調整ができるので、かえって都合のいい場合もあるらしい。長いお付き合いをすればするほどよくわかるし、西部ピアノのように毎回調律師を代える方針(手抜き防止のため)の会社の場合は、次の調律師に詳細なカルテを申し送るシステムで情報を積み重ね、どの季節でも対応できるよう配慮しているとのこと。

除湿を助けるスグレモノ

 乾燥剤はピアノ専用のものを使うのが安全で効果的。有効期限が1年で調律時に交換すればよいし、サイズがピアノに合っているのでどこかに当たって雑音が出たりしない。
 もっと積極的に除湿するにはピアノに内蔵する「ダンプチェイサー」という除湿も加湿も(別途部品が必要)できる機械もある。とにかく人がべたついているなと感じたら、ピアノも汗をかいている。汗も拭けない、シャワーも浴びられないピアノだからこそ、ちょっとした心遣いをしてあげて欲しい。だって、家族の一員なのだから。

良い調律師とは?

1年に1、2回なら、なおさらしっかりとした技術を持った調律師に調律して欲しい。でも、どんな人がいいか、どこにお願いしたらいいかとなると、首を傾げてしまわないだろうか? このコーナーでは、これから少しずつ調律師さんの話をしていこう。

毎日使ってこそ、腕は磨かれる

調律師には国家試験がない。もちろん何級みたいな制度もない。学校などである程度の技術や知識を身に付けたら、あとは個々が、いい先輩から学びながら、どれだけ自分で腕を磨くかにかかっている。だからその人が1ヵ月に何台のピアノの調律をしたかというのは、ある程度の目安になるし、反対にどんなに腕のいい技術者も、何日も使わなかったら衰えてくる。毎日いろいろなピアノにめぐり合って格闘して、わからないことは調べて技術を身に付けていくから、1ヵ月に80台こなす西部ピアノの調律師は、1年経てば約1000台をこなすというから驚き。一段とステップアップしていくのは当然だろう。技術が上がっていい仕事をすればまたお客様が増えて、もっと台数が増える、またステップアップするというわけ。わかっていただけますか?

2009.Seibu Piano all right reserved.
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