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どこに置くのがいいの?

西部ピアノ「特選コラム」~雑誌カンパネラ記事より~

雑誌カンパネラ

ピアノの世界を身近に楽しむためのあれこれをご紹介するシリーズの第3回目。
一度据え付けたらなかなか移動するのが難しい、重量級楽器の王様「ピアノ」。
あとあと後悔しないためにも、なるべくトラブルの少ない場所を探してみよう。

  1. 調律師の学校がオープン、その目指す姿とは?
  2. 調律が必要なのはなぜ?
  3. どこに置くのがいいの?
  4. 備えあれば憂いなし!
  5. ピアノとともに夏を乗り切ろう!
  6. 良いピアノ・ドクターを選ぼう!
  7. 調律の手順を知っておきたい!

専門家の話をよく聞いてじっくり検討してみよう

「ピアノが欲しい」と思ったら、まず誰もがまっ先に考えるのが置き場所。それから何年かは、かなりなスペースを占領し続ける訳だし、音のことも気になる。アップライトのピアノなら、どうしたって壁際に置かないといけないし、となかなか頭の痛い要素がいくつもある。その上、ここが駄目なら、明日はあちら、と簡単に移動できるようなシロモノではない。まずは、専門家の話をよく聞いてじっくり検討してみよう。

ピアノは思ったより隙間だらけ

ピアノは思ったより隙間だらけ

ずばり「ピアノを置いてはいけない場所」を西部ピアノのゼネラルマネージャー坂井さんに聞いてみる。「台所のそば、直射日光の当たる場所」と即座に答えが返って来た。直射日光が、ピアノ表面の塗料、外装に大きな影響を与えるのは容易に想像がつく。では、台所はどうだろう。台所では料理を作る過程で出る「湯気」や「油沫」が大敵になる。多くの部分に木を使っているピアノは湿気による木部の微妙な変化にはめっぽう弱いし、金属部分は少しのさびでスムーズに動かなくなる。片や、揚げ物や炒め物で出る油沫は驚くほど遠くまで飛んでいくので、これも要注意。粒子が小さいので、ピアノの蓋の隙間、べダルの隙間から内部に侵入してしまう。1回に入る量は少なくても、長い間には確実にフエルト部分に付着していき、それがほこりを吸い寄せ、次第に粘りをもつと、ある日突然、鍵盤が上がらなくなる。これも「鍵盤スティック」の一因。ピアノ内部を見ると、鍵盤の動きをハンマーに伝えていく、細いセンターピンもパッドとよばれるごく薄いフエルトで包まれ、適度な摩擦を生むようになっているが、これが動かなくなると「ピンスティック」。それだけではない。「同じことが煙草のヤニでも起こるんですよ」と坂井さん。煙草の煙も同様に少しの隙間から入り込み、フエルト部分にヤニを付着させ、ほこりを呼び、同様なトラブルを起こすという。故障は本当に小さな部分で起こることがよくわかる。

なるべく快適な条件で

なかなか普通の家庭では、そう条件の揃った所は見つからないが、台所から遠く、直射日光も差さず、煙草を吸うような人の来ないところがいいかというと、そうでもない。人が普段いないということは、冷暖房もなく、乾燥や加湿になりがち。ピアノに適した環境は「人に快適な環境」と坂井さんが言う通り、寒暖の差、湿度の差が少なく、過ごしやすいこと。もちろんエアコンの吹き出し口がこちらを向いていることもない。だが同時に、人が住んでいる以上、湿気も、油沫も、ヤニも完璧に防ぐことはできない。そう考えていくと、家の中でできる限り良い条件のところに置いたら、あとはピアノが日々劣化していることを十分理解して定期検診をすることに尽きる。早い段階で変化に気づけば、定期検診時のサービスで十分直してもらえることが多いのもうれしい。

予防や簡単なメンテナンスは自分でしてみよう

予防や簡単なメンテナンスは自分でしてみよう

湿気予防のためには、天気の良い日に前パネルを外して通気することをお勧めする。上板を少し上げると左右に止め具があるので、それを外すといとも簡単に前パネルが外れる。そのまま1時間ほど風を入れる。1ヵ月に1度くらいすると効果的だが、それができない時は、上板を少し空けておくだけでも違う。簡単なメンテナンスとしては、鍵盤スティックが起こり鍵盤が戻らなくなったら、鍵盤を押して左右に振ると戻ることがある。これは鍵盤下の金属ピンのさびの粉がとれたり、穴を一時的に広げるため。またハンマーが上がったまま戻らない、ピンスティックがおこったら、前パネルを外し、ハンマー部分にドライヤーの温風を当てて大きく振ると湿気が飛び、だんだん戻ることがある。この時、1点に集中せずに、柔らかく広範囲に当てるのが重要。両者ともそれで戻れば、急いで修理を頼まなくても、次回の調律の時に見てもらえばいい。ちょっと知っていると、あわてずに自分で対処できる。また、外装の汚れは固く絞った濡れ雑巾で拭き、乾いたタオルで水気を拭き取れば、日々の手入れは十分で、月に一、二度クリーナーを使えばいいという耳寄り情報もある。ピアノを濡れ雑巾で拭くとは驚きだが、固く絞れば問題もなくきれいになるとのこと。お試しあれ。

ほかに気をつけること、あれこれ

アップライトピアノを外壁に接して置くと、音が外に漏れる率が高くなる。できれば内壁に接して置きたい。また、置く時は壁からこぶしひとつ離すと、掃除機のノズルが入り毎日のお掃除が楽にでき、落とした物も拾いやすいという利点がある。また、なるべくピアノの上には物を置かないこと(共鳴の原因にもなる)。置くなら軽いものを。ピアノに傷がつく一番の原因は上からメトロノームが落ちてくることとか。ピアノカバーは後ろ側を押しピンでとめると、カバーがずれて上の物が落下するのを防げる。ほんの少しの注意や知識で気持ち良くピアノと付き合っていけそうだ。

★豆知識 ~ピアノの雑音~

鍵盤をたたいた時、何か別の音が混じることがないだろうか?鍵盤を叩いた振動や、出た音に共鳴して、鳴らないはずのどこかが一緒に鳴ってしまうと起こる雑音。それには3つの種類がある。

  • ♪金属の鳴る音(ペダルのゆるみ、蝶番のネジのゆるみ、足が4本しっかり皿に載っていないなど)
  • ♪木部の鳴る音(木部のゆるみ、底板に少しすきまができるなど)
  • ♪紙のなる音(ピアノの後ろや鍵盤の隙間に物が落ちているなど)

ピアノは大きな太鼓のような造りで、どこが鳴っているか特定するのが難しく、原因捜しは専門家も頭を悩ますことがある。「変だ」と思ったら経験豊富な調律師にご相談を。